肩こりと肩甲骨の関係性

2024年02月13日

こんにちは!新潟市西蒲区・中央区・西区いのラボグループ 柔道整復師の横山です!

今回は肩こりと肩甲骨の関係性についてお話していきます!

肩こりと関係が深い筋肉

身体の動きが少ないと、肩甲骨まわりの筋肉も含め、全身の筋肉の柔軟性が弱まってしまいます。「肩を回そうとすると音が鳴る、もしくは回しづらい」「肩甲骨が肉に埋もれて目立たない」といった状況になってしまうことも。その結果、首コリや肩コリに繋がります。

肩コリと関係性が深いのが僧帽筋(そうぼうきん)と呼ばれる、後頭部~肩~背中にかけて広がる筋肉で、肩甲骨の安定に大きく関係しています。
僧帽筋の動きが少なくなると、肩だけでなく首や腰、背中全体までもが凝り固まる可能性も。
それだけでなく、姿勢が悪くなり猫背や巻き肩、ぽっこりおなかになってしまう場合もあります。

デスクワーカーにとって、肩コリはつらい悩みのひとつ。
1日中お家にこもって仕事をする在宅ワークになって、身体の動きが減り「肩コリがより一層ひどくなった」という方も多いのではないでしょうか。

肩甲骨が動く方向は6方向

肩甲骨は胴体部と上腕骨をつなぐ役割を持つ骨であり、自由度が高く、肩関節の関節運動において広範囲に動くことができます。

なぜ、肩甲骨は自由度が高く、大きく動かせるのかというと、肩甲骨と胴体部で関節構造を形成しているのは鎖骨のみであり、肩甲骨を支えているのが、ほぼ筋肉であるためです。逆三角形の形をしている肩甲骨は6方向への運動が可能であり、それぞれ違う筋肉の作用で動きます。

一つの骨に対し、これだけ多くの筋肉が関わるということは、肩甲骨を自由に動かせなくなった場合に、身体にさまざまな影響が出る可能性がある、ということでもあります。
実際、上方回旋は前鋸筋下部繊維、僧帽筋上部線維が担っていますが、関節運動は作用を担う筋肉だけで構成されているわけではありません。例えば、下方回旋を行う筋肉、すなわち大菱形筋、小菱形筋、僧帽筋下部繊維、小胸筋などの動きが悪くなり固まっている状態だと、上方回旋がスムーズにできなくなります。内転方向を担う筋肉も、動きが悪化することで上方回旋の動きに影響を及ぼします。
施術の中で患者さまの症状緩和の経過があまり良好ではない場合、症状が出ている部位に関連する筋肉に原因が隠れている可能性があります。患者さまの上肢の不調が長引く場合、再度身体のチェックをする意味でも、肩甲骨の動きを確認してみてから施術に入るのも1つの方法かもしれません。

肩関節に関連する症状

・肩関節周囲炎
四十肩・五十肩のこと。
関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化し肩関節周囲の組織に炎症が起きている状態のことです。
一般的に、自然経過が良好と考えられているため、患者さまの中にはいつか症状が緩和すると考えている方も多くいます。

しかし中には、腕が上がらないから洗濯物を干せない、頭に手が届かないから髪を触れない、腰に手が届かないからエプロンの紐が結べないといった慢性的な肩の関節可動域制限(肩関節拘縮)のある状態(=凍結肩)になってしまうことがあります。
肩関節周囲炎の炎症で痛みがある→あまり動かさなくなる→可動域が狭くなる→さらに炎症がおきる・・・という悪循環がおこってしまい日常生活に支障をきたす症状になってしまいます。
・石灰性腱炎
比較的よくある肩関節の疼痛性疾患。
腱板内の石灰沈着(カルシウム塩)によるもので、主に肩峰下包に炎症を起こす疾患です。
石灰の沈着部位としては、棘上筋腱内に発生することが多く(70~90%)急に痛みが発現し、肩関節の疼痛により眠ることが難しいケースがあることも。

・腱板損傷
肩の運動障害・運動痛・夜間痛を訴えますが、夜間痛で睡眠がとれないなどのひどい痛みがあります。
40歳以上の男女(主に男性に多い)が発症しやすいですが、五十肩と違うところは、拘縮、すなわち関節の動きが固くなることが少ないことがあげられます。
腱板は、棘上筋や棘下筋は肩甲骨と上腕骨の2つの骨に挟まれているため、周りの靭帯などからも圧迫、摩擦を受けやすい状態にあり、そのため軽微な力で損傷することも少なくありません。

肩甲骨が身体全体に与える影響

また、先述した通り、肩甲骨と胴体部で関節構造を作っているのは鎖骨のみです。肩峰と鎖骨が肩鎖関節を形成しており、肩峰の下部では、肩峰下関節が構成されています。「第2肩関節」とも呼ばれている肩峰下関節は、解剖学からすると正式には関節とは言えませんが、機能的に関節として働いています。肩峰と烏口突起をつなぐ烏口肩峰靭帯が烏口肩峰アーチを形成しており、肩峰と腱板の間には肩峰下滑液包が、肩関節挙上時に上腕骨頭が烏口肩峰アーチの下をもぐり込めるようにする潤滑液的の役割を果たしています。

鎖骨が胸骨と胸鎖関節を形成していることで、肩甲骨の動きが肋骨、背骨、骨盤、そして股関節など、身体全体に影響を与えることになるため、肩甲骨一つの動きで、身体の中のどこに不調が起こるのか、という仮説を複数立てることができます。

肩甲骨を自由に動かせるトップアスリートは多く、やはり運動パフォーマンスの点においても重要だと考えることもできます。肩甲骨の見方を少し変化させる、いつも以上に意識してみることで、患者さまへのアプローチ方法や施術結果に良い影響が出るかもしれませんね。

執筆者:柔道整復師
いのラボ接骨院グループ 代表
猪股真澄(治療家歴18年)

いのラボ接骨院グループ 代表 猪股真澄

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